張り出し歩廊(Wehrgang)

ドイツの城の構造

日本語ではよく張り出し歩廊と紹介されているので,張り出し歩廊として紹介させていただきます。ドイツ語の表現としては,防御歩廊といったところでしょうか。

張り出し歩廊はブルクや要塞,要塞化した都市や教会の胸壁上部に設けられた防御施設です。

張り出し歩廊とはいいますが,張り出していないパターンも多く見られます。

張り出し歩廊は城壁を登ってくる敵を上から撃ち倒すために,城壁の上に設けられた木製の防御施設です。城壁から張り出しているので,張り出し歩廊と言います。

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木製の張り出し歩廊

張り出し歩廊は木製であるため火に弱く,風雨にも弱いです。それゆえ,上部の木製の張り出し歩廊の部分だけが失われてしまった城壁が多く存在します。

ヨーロッパの城で,胸壁上部が凸凹しているのを不思議だと思ったことはありませんか?

凹みの部分に木を渡し,城壁から張り出す形で歩廊が造られた跡です。現存する張り出し歩廊は,再建されたものがほとんどです。

城壁の外側の張り出し歩廊

ヴァルトブルクは張り出し歩廊は外側に張り出しています(ページ上部の写真矢印)。張り出した歩廊は山の斜面を登り,城壁を登ろうとする敵を見つけやすくなっていることが想像できますでしょうか。

外側に張り出した歩廊は敵を見つけやすい反面,敵の攻撃を受けやすいという欠点があります。

城壁の内側の張り出し歩廊

プファルツ城の張り出し歩廊

プファルツ城の張り出し歩廊は,内側に張り出しています。

内側にある張り出し歩廊は守備側の兵士の危険度が下がりますが,敵を発見しにくいという欠点があります。

プファルツ城の場合,歩廊の大部分は内側ですが,一部は外側に張り出しており,張り出し見張り台となっており,内側張り出し歩廊の欠点を補っています。

歩廊の発達

城壁の上を守衛が動き回り,塔や門を結ぶ廊下でもありました。

兵士たちを風から護るために屋根が設けられました。転落を防止するために,内側には手すりなどが設けられるようになりました。

初期の頃は城壁上部の切れ込みから敵を狙っているに過ぎませんでした。時代が下がるにつれ,胸壁の最上部からしか敵を攻撃できなかったのが矢狭間を設けることによって,城壁の中腹あたりから敵を狙うことができるようになりました。

張り出した歩廊には殺人孔などが設けられ,より殺傷能力の高い攻撃ができるように発展していきました。

木製が多かった張り出し歩廊ですが,石造りの張り出し歩廊もあり,敵の攻撃により歩廊が落ちにくくなりました。