ベルクフリート(Bergfried)とは

Burgruine Koenigstein
エプシュタイン城(Burgruine Eppstein)のベルクフリート

強固で高い塔のこと。日本語ではよく『天守』と訳されているのをよく見かけます。

ドイツの城の重要な基本構成要素の一つです。

目次

ベルクフリートの発展

ベルクフリートは、12世紀頃に新しいタイプの建物として登場し、14世紀にかけて中央ヨーロッパに広まっていきました。

12世紀以降のものは、ほぼ完全な高さを維持しているものが多いですが、12世紀以前のものは考古学的発掘調査によって明らかになったものが多く、基礎の部分しか残っていません。

ベルクフリート以前は住居塔(Wohnturm)というものがよく見られ、モットがその前身になります。

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住居塔はドンジョン(Donjon)とも呼ばれ、フランスなどでは主流の建築様式として発展しますが、ドイツでは防衛に特化したベルクフリートと、居住性に特化したパラスに分かれます。

イギリスのキープやフランスのドンジョンと違って居住性を放棄しているため、細長い形をしているのが特徴です。

ベルクフリートは、城の中心部に配置されることもありますが、尾根城などでは攻撃を受ける側の壁に配置されることもあります。

ベルクフリートの出入り口

ベルクフリートは、他の建物とつながっていないことが一般的です。

原則として、入り口は高さ5~10 m のところにあり、別の橋や階段、はしごを使って登ります。

歩廊から渡ったり、跳ね橋が掛かっているタイプのものもあります。

入口の扉は平時は閂でしっかり閉じられています。

ベルクフリートの形状

平面図では、正方形や円形のベルクフリートが主流です。

しかし中には、五角形や八角形といった多角形のベルクフリートも中にはあります。

帝国城塞コッヘム(Reichsburg Cochem)は、珍しい八角形のベルクフリートです。

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高さは環状壁のだいたい倍であり、14~40 mあります。平均は23 mです。

表面に出ている面がコブのように出ている方形の石(Buckelquader)はシュタウフェン朝時代に建てられたものに特徴的に見られる切石で、環状城壁と同様、この時代のものはこの様な切石で造られているので、時代がよくわかります。

最上階まで窓がない、あるいはひじょうに少なく、スリットが入っているのみです。

壁は地下は分厚く、上層になるに従って薄くなります。

多角柱か円柱か

方形よりも円形のほうが安定していることがわかったため、次第に円形のベルクフリートが増えます。

ザクセン州は城の建設時期が遅かったこともあり、ほとんどのベルクフリートが円筒形の形をしています。

しかしシュタウフェン朝後、レンガが用いられるようになると、円柱よりも多角柱が好まれ、八角形のベルクフリートが登場するようになります。

ベルクフリートの最上階

最上階は、多くの場合、胸壁で囲まれていたと考えられています。

しかし、大型の投擲機やカタパルトが置かれることは殆どありませんでした。

屋根があることもあれば、ないこともあります。

テント型の屋根や円錐形の屋根が一般的で、瓦やスレート葺き、石製がありました。

ベルクフリートの最上階は、朽ちてしまったり、再建された時に元の形とは異なっているものになっていたりと、原型がわからないものが多く存在します。

ヴァルトブルク城は19世紀に再現された城とは言え、本当に中世のベルクフリートを再現しているのかどうか、疑わしいとされています。

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ベルクフリートの中には、監視台の下に狭いながらも居住可能な部屋があることがあり、塔守が使用していました。

ベルクフリートの数と配置

キフホイザー城(Burgruine Kyffhäuser)はひじょうに大きな城で、3つの部分からなり、そのうちの2つのオーバーブルクとミッテルブルクにそれぞれベルクフリートが残っています。

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共同相続ブルクでは、各家系でベルクフリートを建てるなどをしたため、小さくても複数のベルクフリートを持つことがあります。

ベルクフリートの役割

盾として

塔は、そこに存在することで、その後ろにある建物を攻撃から守っています。

ベルクフリートは城の中心部に配置されることもありますが、多くは攻撃を受けやすい側に位置しており、正面防御壁に組み込まれることすらありました。

グライフェンシュタイン城(Burgruine Greifenstein)のツインタワーは、ベルクフリートと盾城壁の中間体で、塔の間が盾城壁となっています。

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角型ベルクフリートの場合、辺ではなく角を向けて、攻撃を真正面から直接受けないように、弾丸攻撃を外らすようにしていました。

見張り台

ベルクフリートは、なんと言っても城の中で一番高い建物です。

通常は、見張り台として使われていました。

見張り台からは、周辺の状況をよく観察できます。

塔の守衛は敵の動きをいち早く察知して警報を鳴らすことができましたし、攻城戦では前野の敵の様子を観察しました。

オスターブルク(Schloss Osterburg)には、塔の守衛のための部屋が残っています。

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牢獄

光が差さない真っ暗なベルクフリート下層部は、牢獄として使用される例も多く見られます。

真っ暗なベルクフリート下層部の牢獄に閉じ込められ、上からロープで水や食料が届けられます。何か月も閉じ込められていたという記述を、時々見かけます。

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