ニーベルンゲンの詩(Niebelungenlied)

お城にまつわる伝説

お城にまつわる伝説とはちょっと違うかもしれませんが,ニーベルンゲンの歌(Niebelungenlied)のお話です。

中高ドイツ語で書かれた抒情詩で,非業の死を遂げた竜殺しの英雄ジークフリート(Siegfried)と,その妻クリームヒルト(Kriemhild)による復習の物語で悲劇です。

2009年に,この物語の3つの写本が歴史的価値を認められ,UNESCOのユネスコ記憶遺産に登録されています。

この物語にちなんで,ヴォルムス(Worms)からオーデンヴァルト(Odenwald)にかけて,ニーベルンゲン街道とジークフリート街道という2本の観光街道があります。合わせてニーベルンゲン・ジークフリート街道と呼ばれています。

伝承が元になっているとされているため,出典によりいろいろ違っていることがあります。ここに紹介するのは,そのうちの一つです。

物語は,動乱を生き抜いたと思われる人物が,思い起こして語られています。

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本編

黒い森(Schwarzwald)とヴォージュ山脈(Vogesen)の間に,私は家を構えました。

そこには住みやすい緑の川岸があります。私はレーマー(Römer)を発った後,ブルグンドもみてきました。あまり知られていない果樹園とぶどう畑,牧草地にはたくさんの牛。家と農地は少なく,人間はほとんど見当たりません。

古都ヴォルムス(Worms)でも,新しい生活をはじめました。

クリームヒルトとジークフリートの出会い

3人の兄弟,グンター(Gunther),ゲルノット(Gernot),ギゼラー(Giselher)が王国を共同統治していました。彼らの妹は金髪のクリームヒルト(Kriemhild)で,その美しさは隠しようがありませんでした。

王宮の人々の間では,誰がクリームヒルドの心を捕らえることができるのか,話題になっています。

求婚者たちはすぐにやってきました。

求婚者たちはクリームヒルトに貴重な宝石を贈りました。それらは素晴らしい輝きを放っていたに違いありませんが,愛しい人の目に映ることはありませんでした!

求婚者が出ていくと,クリームヒルトは母のウテ(Ute)にこう嘆きました。

「私の心を掴んでくれる男性を夢見ているの!」

ウテ夫人は悲しむ娘を慰めようとしました。

「あんたが理想としている男性なんて、ただのおとぎ話の中のヒーローだよ」

クリームヒルドの夢は,ある日現実となりました。

ライン川沿いを北から金髪の若者が馬に乗ってやってきました。

彼は力強くて体格がよく,後には数多くの駄馬がチョコチョコと歩いていました。駄馬の背中にはパンパンに膨らんだ革袋が積まれていました。

何が入っているのか,私はクリームヒルトに正確に伝えることができましたが,クリームヒルトが彼に尋ねる楽しみを奪いたくありませんでした。

彼は私と同じ左岸,遠くヴォルムスから3日以上船で下ったところにある古いローマの都市クサンテン(Xanten)で育ちました。

そこでは彼の父ジークムント(Siegmund)が王として君臨しています。

息子の名前はジークフリート(Siegfried)で,馬を手なづけ,武器を扱うことを学び,そして上流に旅をしてきました。

ジークフリートはすべての水がどこから来ているのか知りたがっていました。運命の叫びは,両親の願いよりも大きかったのです。

「親と一緒にいるんだ!いつかおまえは王冠を継承するのだ!」

両親はそう言って,息子の願いを聞き入れませんでした。

父親は息子に先立たれることになります。今に至るまで,ジークフリートの名は輝かしい栄光に包まれています。

ジークフリートが氾濫原に馬でやってきたとき,クリームヒルトはヴォルムス王宮の高い位置にあるバルコニーに立っていました。

クリームヒルトのブロンドの長い髪が風にたなびいています。

クリームヒルトと来訪者は目があいました。クリームヒルト私たちが持ってきたものには気にもとめません。

しかしジークフリート彼女を一度も見上げることはありませんでした。王宮の塔,その壁と胸壁,そして鍵のかかった広い門を見つめたままです。

ジークフリートは王室からの客人として認められました。

ジークフリートはブルグンドの3人の王から評価され,強さと敏捷性を試されました。剣闘,走り幅跳び,競走をしている様子を,クリームヒルトは非常に興味深く見ていました。

その後,みんなで囲炉裏の周りに座り,酒宴を行いました。

グンター王はジークフリートを招待し,ジークフリートは喜んで滞在しました。

ブルグンドの3人の王たちの妹クリームヒルトは彼に惹かれ,彼をもっと近くで見たいと感じました。

毎晩何かを祝っていました。

月夜の晩に

ジークフリートは寝る前に,花が咲き誇るバラ園を散歩する習慣がありました。ナイチンゲールの甘い歌に耳を澄ませていたのは,暑い夏の日で,心が恋に燃えていたからかもしれません。

ある夜も深まった頃、彼は暗闇の中で小さな足音を聞きました。

ジークフリートが身を隠して耳を澄ましていると,月明かりの下にクリームヒルトがいるのを見つけました。ジークフリートは胸の鼓動が速くなるのを感じました。

彼は彼女の手を取りますが,突然のことで,彼女は彼の手を振り払いました。

そして彼は彼女の額にキスをし,彼女を胸に抱き寄せ,愛の告白をしました。

クリームヒルトは恋人のことをすべて知りたいと思い,いろいろなことを彼に聞きました。

クリームヒルトがジークフリートの腕に軽く触れたとき,驚きました。触れた肌は、まるで生命を感じられないかのような奇妙な感じがしました。

クリームヒルトは怪訝に思い,ジークフリートが彼女に秘密を明かすまで黙ることはありませんでした。

不死身の体

今いるライン川沿いの美しいケーニヒスヴィンター(Königswinter)の近く,彼は恐ろしいドラゴンと戦いました。

それは厳しい戦いでした。ジークフリートがドラゴンにトドメの一撃を与えたとき,全身にドラゴンの返り血を浴びました。驚いたことに,ドラゴンの血が流れた後の皮膚は、硬皮のように硬くなっていました。

この血を浴びたことにより,傷つくことのない体となりました。

「硬くなった皮膚はあなたの体を守るの?」

「ああ,ある小さな箇所を除いてね」

シナノキの葉が肩の間に落ち,その部分だけドラゴンの血がかからなかったことに,最愛の人はためらいます。

フリームヒルトはその話に震えました。

「私はあなたのすべてを知りたい!」と彼女はジークフリートに言いました。

ジークフリートは,小人の王アルベリッヒ(Alberich)からニーベルンゲンの莫大な財宝を奪った話を彼女に打ち明けました。

「私と結婚してくれたら,それらの財宝を君に贈ろう」

その時はまだ,クリームヒルトは何のことかほとんど理解できませんでした。

グンター王とブルンヒルト(Brunhild)

グンター王は,ジークフリートと妹の結婚を許す条件として,アイスランド女王ブルンヒルトへの求婚の手助けをして欲しいと言いました。そして,成功の暁には,華やかなダブル結婚式を挙げようと言いました。

もちろん,ジークフリートはこの申し出を喜んで承諾します。

ブルンヒルトは黒髪のアイスランド女王で,女傑でした。

結婚するなら自分より強い男が条件で,今まで数多くの求婚者と戦い,命を失った者も多くいました。

ブルンヒルトは誇り高く,勝利を確信してグンターに立ち向かいました。グンターは彼女の力強さに驚きを隠せません。

グンターはジークフリートに助けを求めます。

ジークフリートは,小人王から手に入れた隠れ蓑を取り出し,身につけます。隠れ蓑は自分の姿を見えなくします。

ブルンヒルトに気づかれることなく,グンターを助けることができました。

グンターはブルンヒルドからの激しい攻撃に持ちこたえることができませんでしたが,これに気づいたジークフリートが彼女の抵抗力を奪い,屈服させることができました。

ブルンヒルドはグンターに自分の国の領主とし,その後,彼の花嫁としてヴォルムスに同行することになりました。

全員が戻ったとき,ジークフリートは約束通りクリームヒルトにニーベルンゲン族の財宝を贈り,結婚式を挙げました。同時に,ブルンヒルトとグンターも結婚しました。

結婚式の夜,ブルンヒルトはグンターの強さをもう一度再確認するために、再度戦いを挑みました。

戦いの結果,ブルンヒルトはグンターを圧倒し,彼の手足を縛り,朝まで寝室の床に転がしておきました。

ブルンヒルトがグンターを解放すると,グンターはジークフリートに元に行き,ひどい目に合ったことを訴えました。

再度,ジークフリートは彼を助けることを承諾しました。

ブルンヒルトが寝室に現れたとき,ジークフリートはブルンヒルトを抑え込み,密かに彼女のベルトと指輪を抜き去りました。

翌日,ジークフリートはクリーヒルトにそのベルトと指輪を贈りました。

ブルンヒルトの疑念

ヴォルムスでは,誇り高きアイスランド人がグンターをジークフリートと比較し始めていました。

クサンテンの英雄の方が強い。金髪の義理の妹が羨ましい!

ある朝,ブルンヒルトとクリームヒルトが大聖堂への階段を上ったとき,ついにブルンヒルトの不満が爆発しました。

ブルンヒルトは女王であり,家臣の妻であるクリームヒルドの前に出るべきであると主張します。

感情的になったクリームヒルトは,結婚式の翌日にブルンヒルトを押さえつけたのはジークフリートであることを暴露し,証拠として指輪を差し出しました。そして,女王よりも先に大聖堂の中へと入っていきます。

ブルンヒルトにとって,死ぬほど屈辱的な出来事でした。

グンターはブルンヒルトに謝罪することになります。

ハーゲン(Hagen)の奸計

グンターは自分の剣術指南役である恐ろしいハーゲンを頼りました。

ジークフリートを倒す計画がすぐに考案されました。

ハーゲンはクリームヒルトのところに行きました。

「森は危険に満ちている」

とハーゲンは言いました。金髪のクリームヒルトは笑いました。

「凶暴な野牛は,10人の強い男性より強い!ジークフリートは不死身です!」

ハーゲンが悪賢くこれを疑うと,クリームヒルトはドラゴンの死の物語を明かしました。

「シーグフリートは怪獣の血を浴びたのよ,ハーゲン!それは彼の肌を強くしましたの。とても小さな部分を除いてね」

クリームヒルトはハーゲンにシナノキの葉のことも話してしまいます。これでハーゲンはジークフリートの弱点がどこにあるのかを知ることになりました。

ジークフリートの死

彼らはジークフリートをオーデンヴァルトへの狩猟に招待しました。

激しい狩猟活動の後,ジークフリートは喉の渇きを癒すために泉に身を屈めました。

ハーゲンは明らかな悪意を持って狩猟の槍をジークフリートの肩の間に突き刺しました。

ジークフリートは最後の力を振り絞って振り返ると,ハーゲンの目に明らかな殺意があることを感じました。

ジークフリートは失血死しました。ブルグンド人は獲物を載せて持ち帰るラバに,ジークフリートの遺体を載せました。

グンターとハーゲンは,ヴォルムス城のクリームヒルトのドアの前に死んだ男を置きました。

クリームヒルトが早朝に教会に行こうと部屋を出たとき,ジークフリートが冷たく硬くなっているのを見つけました。

クリームヒルトは泣き叫び,床に突っ伏しました。

兄たちは妹には真実を隠し通すつもりでいました。

「私たちはジークフリートが泉で動物に殺されてたのを見つけたんだ」

兄たち不器用な嘘をつきました。

クリームヒルトの目はゆらぎ,顔は危険なほど青ざめていました。

クリームヒルトは兄たちが殺害したことが分かっています。

クリームヒルトは神の裁きを求め,実行しなければならないと決意しました。

ジークフリートはアルターの安置され,中庭に来たすべての人が彼の遺体の傍を通らなければなりません。ハーゲンが遺体に近づいたとき,致命傷から再び血が流れ始めました。

クリームヒルトはジークフリートを殺した者が誰であるか知ることになります。

ハーゲンの主人である兄に罰を求めましたが,拒否されてしまいます。

恐ろしいハーゲンはクリームヒルトの決心に気づきます。

クリームヒルトから復讐の手段を奪うため,密かに保管庫からニーベルンの財宝を取り出し,夜,ライン川の岩礁と渦の中に投げ入れました。

災いの財宝は、二度と現れることはありませんでした。

クリームヒルトは夫をロルヒ修道院(Kloster Lorch)に埋葬しました。

クリームヒルトの復讐

クリームヒルトは13年間,その墓所の近くに住み,心は復讐の鬼となっていました。

未亡人であるクリームヒルトの元に,求婚者がハンガリーからやって来ました。

エツェル王はブルグンド王の娘の美しさと一族の富を聞いており,彼女が自分の妻となってくれることを望みました。

クリームヒルトは強大な力を持つフン族の王の妻になりました。愛していたわけではなく,復讐をするための武器を手に入れるためです。

クリームヒルトはフン族の王を魅了する方法が分かっていました。

クリームヒルトは確信を絶対のものにしたとき,三人の兄たちを子供の洗礼に招待しました。

ハーゲンは悪い予感がして王に警告しましたが,王は上の空で聞き流しました。

戦いの準備はしつつも,平和的な目論見で,兵士全員と共にエツェルの宮廷に行きました。

そこでは各人のために晴れ着が用意されていました。ハーゲンの命令で,兵士たちはチェーンメールと胸当ての上に晴れ着を着ました。

宴会テーブルは料理とワインの水差しの重みでたわんでいます。

クリームヒルトは、客人とホストの間で紛争を引き起こす方法を知っています。

突然,白刃の武器がいたるところで引き抜かれました。

ブルグンド人たちは自分たちの命を守るために戦わなければなりませんでした。

なんとか,フン族の一団からホールのドアに血なまぐさい突破口を切り開きました。出口に辿り着く前に,クリームヒルトはタペストリーと木製の天井に火をつけました

煙と炎の中,ブルゴーニュの王たちは数え切れないほどの傷から血を流し,最後の戦いを繰り広げました。

すべての兵士が倒れた後,ついにハーゲンも倒れました。

クリームヒルトは自ら,武器を持たない無防備な状態のハーゲンの頭を切り落としました。

この殺害に嫌悪感を抱いた古老の武器指南役ヒルデブラントは,自ら剣を抜き,最終的にクリームヒルトを殺害しました。

ニーベルンゲンの詩

ドイツ語の初期の時代から最も偉大な詩であるニーベルンゲンの詩により,ブルグンド族の没落について永遠に名を残すことになりました。

私は静かな冬の夜,ミンネゼンガーの歌声に耳を傾けます。私の川岸の城で,ミンネゼンガーたちはこの物語を後世に歌い継いでいます。

彼らは美と英雄的行為,愛,死から半世紀もの間続いた愛と無限の広がりについて語り,そして彼らは幸せな人生を残酷に裏切られた女性の憎しみと復讐を歌います。