ニーベルンゲンの歌(Nibelungenlied)―史実と幻想が織りなす物語

お城にまつわる伝説とはちょっと違うかもしれませんが、ドイツ中世騎士物語の代表格『ニーベルンゲンの歌(Niebelungenlied)』のお話。

中高ドイツ語で書かれた抒情詩で、非業の死を遂げた竜殺しの英雄ジークフリート(Siegfried)と、その妻クリームヒルト(Kriemhild)による復讐劇で悲劇の物語。

悲劇の物語だけど、愛の物語でもあるから惹かれるんだよね

中世の人々にとって、中世騎士物語に登場するヒーローは理想の騎士像。物語に登場する人物の生き様に憧れ、追い求めました。

2009年、この物語の3つの写本が歴史的価値を認められ、UNESCOのユネスコ記憶遺産に登録されています。

この物語にちなんで、ヴォルムス(Worms)からオーデンヴァルト(Odenwald)にかけて、ニーベルンゲン街道とジークフリート街道という2本の観光街道があります。2本合わせてニーベルンゲン・ジークフリート街道と言います。

伝承が元になっているとされているため、出典によりいろいろ異なっている箇所があります。ここで紹介するのは、そのうちの一つです。

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目次

物語の背景と中世の世界観

ニーベルンゲンの歌は、史実と北欧およびゲルマン神話が絡み合った物語。

舞台はライン河畔のブルグント王国を中心とし、現在のオランダからハンガリーにまで広い範囲に渡っています。

物語を読み込んでいくと、中世ヨーロッパの価値観や生活感の理解が深まります。

ブルグントはフランス語でブルゴーニュ。地名として残っているね。

背景にある実際の歴史

紀元2世紀頃、ライン川河畔にブルグント族が定住し始め、最初の王国の首都はヴォルムス(Worms)にありました。ヴォルムスは物語の登場人物クリームヒルトの出身地です。

ライン川左岸のブルグント族は、レマン湖とローヌ川にローマ人の臣下として再定住。

ライン川右岸のブルグント族は、ローマ軍とフン族との戦いで、フン族の王エッツェル(またはアッティラ:Attila)率いるフン族とともに戦いました(ドイツ語読みでエッツェルとなります)。

436年

フン族はブルグンド王国に侵攻し、グンダハール率いるブルグント軍を壊滅に追い込み、437年に第一ブルグント王国は滅亡。

451年

フン族はブルグント族を含む従属諸族を率いて、西方へ進軍。ローマ=西ゴート連合軍と衝突(タカラウヌムの戦い)し、西ゴートのテオドリクスが戦死、エッツェルは敗北して撤退。古代ローマ帝国は崩壊。

物語に登場する人物と歴史上の人物との符合

物語に登場する人物は、実際のフランク王国メロヴィング朝時代の人物をモデルとしているものが多く登場します。

ブルグント国王グンター(グンテルとも:Gunther)

ライン川左岸の第一ブルグント王国の国王グンダハール(Gundahar)がモデル。グンダハールは536年にフン族の助けを得たローマ将軍に敗れ、戦死します。

イースランド女王ブリュンヒルド(Brunhild)

西ゴート王国の王女ブルンヒルド(543-613年)がモデルと言われています。アウストラシア国王シギベルト一世の妻であるが、曾孫の折衝としてアウストラシアとブルグント王国を支配しました。

チューリンゲン辺境伯イルンブリート

チューリンゲン王国の最後の国王ヘルマンフリート(Hermanfried)がモデル。ヘルマンフリートは東ゴート王国のテオドリック大王の姪の婿で、フン族とも連携し、反フランク同盟を結んでいましたが、フランク=ザクセン同盟軍に破れ、奸計により殺害された人物。

ディートリッヒ・フォン・ベルン

東ゴート王国テオドリック大王(454-536年)がモデル。ローマ帝国の副帝であり、東ゴート王国創始者。

フン族の王エッツェル

フン族王アッティラ(406-453年)がモデル。婚礼を祝う祝いの席で、急死しました。

背景にある騎士道

ニーベルンゲンの歌を読むと、当時理想とされていた騎士像を理解できるだけでなく、中世の騎士たちの価値観や生活を垣間見ることができます。

気前の良さと派手さは美徳

侘び寂びを好とした日本の武士道とは対極ね

ジークフリートたちが旅立つとき、あるいは祝宴を開くときは、金に糸目をつけずにとにかく豪華な衣装を用意します。祝宴では、これまた金に糸目をつけずに豪華な衣服や宝石を客人や使者たちに贈る描写もあります。

これぞ見栄っ張りで派手好き騎士の真骨頂!

お金よりも名誉や忠義、勇気を重んじる場面もあるよね

垣間見える上流階級の生活

上流階級の女の子たちは奥の院で育てられ、客人の前に姿を表すことはほとんどありません。

ジークフリートがクリームヒルトを娶ろうとヴォルムスの宮廷に赴くも、最初の1年はクリームヒルトの姿をみることすらありませんでした。

日本の平安貴族の女性たちもほとんど姿を見せなかったよね。それと同じ感じなのかな?

物語では客人を招いたパーティーが度々開かれます。

  • 客人をもてなすためにどのような準備をしたのか
  • パーティーはどのようなスケジュールで行われたのか
  • 朝はミサ、昼は馬上槍試合、夜は宴会というお祭りが何日も続くこと

客人の到着を知らせる使者にもたっぷりと贈り物をしたり、訪れた客人にも高価な贈り物をしたり。

客人たちが到着すると、昼は馬上槍試合、夜は宴会が開かれるというお決まりのパターン。

馬上槍試合は、一般的にイメージされる1対1のジョストではなく、時代背景的に団体戦のブーフルトであることを念頭に置いて読むと良いでしょう。

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ニーベルンゲンの歌の本編あらすじ

ドイツ初期の時代から、最も偉大な詩であるニーベルンゲンの詩により、ブルグンド族の没落は永遠に名を残すことになりました。

静かな冬の夜、人々はミンネゼンガーたちが歌い継いだこの物語に耳を傾けます。

ミンネゼンガーは美と英雄的行為、愛、死から半世紀もの間続いた愛と無限の広がりについて語り、幸せな人生を残酷に裏切られた女性の憎しみと復讐を歌い語ります。

ヴァルトブルク城の歌合戦の間でも、きっとこの物語は歌われていたのでしょうね。

物語は大きく分けで、前半と後半に分けられます。

  • 前半:クリームヒルトとジークフリートの出会いから、ジークフリートが殺害されるまで
  • 後半:クリームヒルトがブルグントに復讐をする話

クリームヒルトの性格が前半と後半で違っています。もともと異なる人物をモデルにしたという話もありますが、

愛する人を殺されて、精神が壊れてしまった

のではないかと私は感じます。後半は復讐物語なので、かなり血なまぐさい話

フランク王国メロヴィング朝時代は、物語以上にもっと血なまぐさい時代だったよ

Pinckney Marcius-Simons, Public domain, via Wikimedia Commons

黒い森(Schwarzwald)とヴォージュ山脈(Vogesen)の間。緑豊かな川岸で、ひじょうに住みやすい場所。ローマ人が去った後、そこにはブルグンド人たちが住むようになりました。

見慣れない果樹園とぶどう畑に驚き、牧草地に野生化した牛。家と農地に人はおらず、ブルグンド人たちはローマ人が残したそれらのものをそのまま利用して住み着きました。

古都ヴォルムス(Worms)にも、ブルグンド人たちは新しい息吹を吹き込みました。

クリームヒルトとジークフリートの出会い

ヴォルムスでは、グンター(Gunther)、ゲルノート(Gernot)、ギゼルハー(Giselher)の三兄弟が王国を共同統治していました。三兄弟自身、雄々しくて強い勇士。仕える者たちも豪勇な戦士。

彼らの妹、金髪のクリームヒルト(Kriemhild)は、たいへん美しい乙女。

若き王子ジークフリート

ライン川の左岸、ヴォルムスから船で3日以上下ったところにあるニーダーラントの都市クサンテン(Xanten)で、ジークフリート(Siegfried)は育ちました。そこは彼の父ジークムント(Siegmund)が王として君臨している国。

ジークフリート(Siegfried)は力が強く、勇敢なだけでなく、超イケメン。成人する前から勇気に任せて多くの国に戦いを挑み、名声をあげていました。

ジークフリートが武器を帯びることが許される年令に達したとき、それはそれは盛大な騎士叙任式が行われました。

ある時、ジークフリートはブルグントの美しい乙女の噂を聞きます。

ジークフリート

クリームヒルトに求婚するぞ

ヴォルムスにて

綺羅びやかな衣装を身に着けたジークフリート率いる騎士御一行様がヴォルムスに到着すると、民衆は驚きました。

ヴォルムスの王宮には立派な衣服をまとった騎士たちが到着した知らせは届いており、その者は誰なのかと話題になります。

ジークフリートの英雄譚

ニーベルンゲンの人々からバルムンクの剣を贈られました。しかしジークフリートによる宝の分配が気に入らず、ジークフリートに戦いを挑んでしまいます。戦いの結果、ニーベルンゲン国は滅ぼされてしまい、財宝はジークフリートのものになります。

  • バルムンクの剣
  • 隠れ蓑(姿が見えなくなる上に十二人力が加わるスーパーアイテム)

竜を打ち殺したとき、返り血を浴びた皮膚は硬くなり、どんな武器でも傷つけることができない身体になっています。

なにそのチート!

部下からジークフリートの噂を聞いたグンター王は、ジークフリートを客人として認めました。

ジークフリートはブルグンドの3人の王から強さと敏捷性を試され、評価されました。剣闘、走り幅跳び、槍投げなど、何をしても一番強くて巧みなのはジークフリートでした。

ジークフリートは見物する女性たちの中にクリームヒルトを見出すことはできませんでしたが、実は窓の奥からジークフリートを探していました。

ヴォルムスでの暮らしはもう1年にもなるというのに、美しい乙女に逢ったことは、まだありません

ブルグントとザクセンとの間に戦いが発生し、ジークフリートはブルグントのために戦い、多くの戦功を上げました。

戦勝祝の祝宴が開かれることになり、その祝いの席に初めて奥の院からクリームヒルトを含む美しい貴婦人たちが初めて姿を表しました。美しい貴婦人の中にあって、クリームヒルトの美しさは群を抜いており、他の貴婦人たちの美しさがくすんでしまうほど。

グンター王

クリームヒルトはまだどの騎士にも挨拶をしたことがない。ジークフリートに挨拶をさせよう。

王のはからいで、かくしてジークフリートとクリームヒルトは初めてお互いの顔を合わせることができました。お互い顔も知らないうちから噂だけで恋い焦がれていた相手。

12日間の戦勝パーティの間、ジークフリートはクリームヒルトのそばに常に付き従っていました。

祝宴が終わると、多くの客人たちが故国へと帰ります。ジークフリートも故国へと帰ろうとしますが、引き止められたため、ブルグントにとどまることになりました。

グンター王とブルンヒルト(Brunhild)

海の向こうのアイスランドには、美しさと強さを兼ね備えた女王ブルンヒルトがいました。

彼女の愛を求めるものは、三種の競技で競い、彼女に勝たなければならないという条件がついていました。結婚するなら自分より強い男が条件で、今まで数多くの求婚者と戦い、命を失った者も多くいました。

グンター王

私はどんな目にあっても構わぬ。彼女の愛を勝ち取りたい。ジークフリートに助太刀を頼もう。

ジークフリート

美しいクリームヒルトを私の妻にくださるのなら、お供いたします。他になんの礼もいりません。

ジークフリートはグンター王の家臣の一人として一緒に行くことになりました。スーパーアイテムの隠れ蓑だけを持って。

グンター王とブルンヒルトの戦い

グンター王がブルンヒルトの愛を勝ち取るための戦いが始まりました。

戦いの準備が行われている間、ジークフリートはこっそり船に戻って、秘密のアイテム隠れ蓑を身に着けます。姿が見えなくなるので、城に戻ったことも戦いの場に現れたことも誰にも気づかれません。

競技用に運ばれてきた石も槍も、屈強な男たち12人でやっと運べるほどの重さ。グンターが連れてきた他の家臣たちの不安は高まるばかり。

しかし隠れ蓑の力で姿を消したジークフリートがグンター王の元に歩み寄り、王にこっそり耳打ち。グンター王はジークフリートに言われたとおりに振る舞い、他のことは姿を消したジークフリートがやってのけました。

ブルンヒルドはグンターを自分の国の領主とし、その後、彼の花嫁としてヴォルムスに同行することになりました。

ダブル結婚式

ジークフリートはグンター王の使者として先にヴォルムスに到着しました。

ジークフリートからの知らせを受けたヴォルムスの人々は、アイスランドからの客人を迎えるために大忙し。クリームヒルトを含む城の女性たちも美しい衣装を着込み、城では出迎えの準備を整えます。

アイスランドから来た人々が船から降りると、アイスランドとブルグントの勇士達による馬上槍試合が何度も行われ、双方の女性たちを喜ばせました。

グンター王

妹のクリームヒルトに、ここに来るように言ってこい

王の使者に言われてクリームヒルトが大広間に行くと、兄はジークフリートの妻になれと言うではありませんか!

ただこの席で、なぜ王が美しいクリームヒルトを家臣であるジークフリートに妻として与えたのか、ブルンヒルトだけは理解に苦しみ、不機嫌になりました。

ブルンヒルトの疑念

吊るされたグンター王

婚式の夜、ブルンヒルトはグンターの手足を帯で縛り上げ、朝まで寝室に吊り下げました。グンター王が開放してもらうように頼み込んでも、聞き入れてもらえません。

翌日のミサのあと、騎士たちの競技が始まりましたが、ジークフリートはグンター王の様子がおかしいことに気づき、尋ねました。

ジークフリート

彼女が今夜またそのようなことをしようとしたら、私が懲らしめましょう。

ジークフリートは約束通り隠れ蓑を用い、なんとかブルンヒルトを屈服させました。

結婚式の祝宴は、14日間にわたり続きました。

結婚式の客人たちがそれぞれの領国へと帰ると、ジークフリートもまた妻となったクリームヒルトを連れて故国ニーダーラントへと帰ります。

結婚式から10年後

お互いに子どもも生まれ、久しぶりに合いたいということで、グンター王とブルンヒルトはジークフリートとクリームヒルトを宴会に招待します。ジークフリートの父ジークムントもついて行きました。

二人の王妃の喧嘩

12日目の夕方、大聖堂の前で、

  • ブルンヒルト:ジークフリートは夫(グンター王)の家臣
  • クリームヒルト:ジークフリートはグンター王と対等

この認識の違いから、言い争いに発展。

感情的になったクリームヒルトは、結婚式の翌日にブルンヒルトを押さえつけたのはジークフリートであることを暴露。そしてブルンヒルトよりも先に大聖堂の中へと入っていきます。

ブルンヒルトにとって、今出来事は死ぬほど屈辱的な出来事でした。

この件で、ジークフリートはクリームヒルトを引っ叩いていることが、後の章で明らかになっています。

暴力反対!

ハーゲン(Hagen)の奸計

他の者たちは「つまらぬことで怒っている」という受け止め方でしたが、

ハーゲン

誠実だったからといって、許すわけには行きません。王妃を侮辱したんです。あいつか私のどちらかが死ななければなりません!

ジークフリートを倒す計画がすぐに考案され、最初は引き止めたグンター王でしたが同意してしまいました。王はジークフリートを生かすつもりでしたが、ハーゲンは違いました。

ハーゲンはクリームヒルトのところに行きました。

ハーゲン

私はジークフリート様を身を挺してでもお守りしたい。どこか気をつけなければならない弱点はございますでしょうか?

クリームヒルト

両肩の間、菩提樹の葉が一枚落ちたそこだけ、竜の血を浴びることがなかったので、そこを突かれると傷を負うの

これで、ハーゲンはジークフリートの弱点がどこにあるのかを知ることになります。

ジークフリートの死

グンター王とジークフリートは、多くの家臣を従えて、森へ狩猟へ行くことになりました。

それぞれ勢子と猟犬を引き連れて、狩猟場となる森へと入っていきました。ジークフリートは狩猟でも超一流。狩人たちが驚くほど多くの獲物を仕留めます。

狩った獲物で屋外パーティ。しかしそこには祝宴につきもののワインがありません。

ハーゲン

この近くに新鮮な泉が湧いています。そこに行きましょう。

グンター王が水を飲み終わり、次にジークフリートが水を飲もうと身をかがめました。

その背後、ハーゲンはジークフリートが菩提樹の木に立てかけた彼の槍を手に持ち、彼の弱点めがけて力いっぱい突き刺しました。

槍は心臓を突き刺し、鮮血が噴水のようにほとばしり、あたり一面赤く染め上げました。

ジークフリート

お前たちは一族全部の面汚しをした。お前たちはもう騎士と呼ばれる資格はない。この恥はお前たちの子孫にもおよぶだろう!

ハーゲンは冷酷にも、ヴォルムス城のクリームヒルト部屋のドアの前にジークフリート遺体を置きました。

クリームヒルトより先に侍女がミサのために部屋を出たとき、戸口の前になくなった騎士が横たわっているのを見つけました。父ジークムントと妻クリームヒルト、ニーダーラントから来た家臣たちの嘆きは計り知れません。

ブルンヒルトを辱めたのはクリームヒルトなのに、なぜジークフリートが殺されなければならないのか、わけわからん

葬儀のために大聖堂に来た人は、ジークフリートが収められた棺台の傍を通らなければなりません。ハーゲンが棺台に近づいたとたん、傷口から再び鮮血が流れ始めました

棺台審判

殺人犯が殺されたものに近づくか、あるいは死体に触ると傷口が開いて鮮血が流れ出すという民間信仰。

復讐を恐れるハーゲンは、クリームヒルトがジークフリートから受け継いだニーベルンゲンの宝を、ライン川流れに沈めてしまいます。

エッツェル王との結婚

クリームヒルトはそれから13年間墓所の近くに住みました。

一方その頃、フンの国王エッツエル王は王妃を亡くし、王は再び妻を娶ろうと考えていました。

リューディゲル

ジークフリートの未亡人クリームヒルトがたいへん高貴で優れた女性です

キリスト教徒で異教徒が結ばれることは奇跡に等しい。しかし試してみる価値はあると使者が送られました。

エッツェル王の妻になれと、高貴な使者リューディゲルや兄弟のゲルノートとギゼルハーだけでなく母ウテまでもがクリームヒルトを説得しますが、クリームヒルトはなかなか首を縦には振りません。

エッツェル王は異教徒!

しかしそこはリューディゲルが誠実な友人となることと、エッツェル王の宮廷にもキリスト教徒の戦士が多くいることを理由に、相手が異教徒であることの不安は払拭されました。

Alfred Rethel, Public domain, via Wikimedia Commons

クリームヒルトはエッツェル王に使える多くの上級貴族から歓迎を受け、エッツェル王はもちろんのこと、エッツェル王の宮廷にいるすべての人からも歓迎されました。

ハーゲンへの復讐の時

エッツェル王との間に子どもも生まれ、幸せに暮らしているように見えるクリームヒルトでしたが、ときどきふと、ジークフリートとの幸せな日々を思い出して、涙することがありました。

クリームヒルト

私の友人たちを、このフンの国に招待してもいいかしら?

同時に、クリームヒルトのなかで「ハーゲンに復讐するチャンスが得られるかもしれない」という期待が高まりました。

ハーゲンは悪い予感がして国王に警告しましたが、上の空で忠告を聞き流すグンター王。

ブルグント人対フン人の戦い

エッツェルの城へ向かう旅の途中、クリームヒルトがハーゲンのことを狙っているらしいという忠告を、エッツェルの宮廷に仕えるディートリッヒ・フォン・ベルンから聞きます。

エッツェルの城に招かれたブルンヒルトの勇士たちは歓迎されます。

しかし、クリームヒルトの対応が相手によって異なっていることにハーゲンは気づき、ディートリッヒ忠告通り自分が狙われていることを悟ります。

Alfred Rethel, Public domain, via Wikimedia Commons

ブルグント人たちは狙われていることを知って、気が立っています。気が立っていることを感づいたチームはブルグントと対戦することを避けました。

遊びが、真剣勝負になりかねない状況。

そんな中、一人のフン人が競技場の中に馬を進めると、ブルグントの楽人フォルケルが彼を槍で刺し貫いてしまいます。

そのまま争いに発展しそうでしたが、その場は双方の国王たちがなだめることに鎮まりました。

しかしそれも束の間。

その日の宴会では、双方気が立った状態で武装してテーブルにつくようなピリピリとした一触触発の状況。

クリームヒルト

私の愛する夫を殺したハーゲン。彼に復讐してくれる人には、私の財産のすべてを喜んで差し上げます。

エッツェル王の弟の一団がブルグント人のいるホールに遅いかかり、エッツェル王の弟は討ち死に。主君が殺されるのを見たフン人は剣を抜き、ブルグント人に襲いかかります。

フン人の屍とブルグント人の屍ばかりがホールに横たわる凄惨な状況。

クリームヒルトは、自分の兄弟を含むブルグント人のいるホールのタペストリーと木製の天井に火をつけました

そんな中でも死者の血を飲み、ハーゲンたちは生き延びました。

フン族の国へ案内してくれたリューディゲルと戦わなければならなくなった時は、さすがのブルグント人もショックを受けました。

リューディゲルは娘婿のゲルノートと刺し違えになり、ともに倒れました。

リューディゲルの死によりディートリッヒ軍も動くことになりました。

ディートリッヒの配下の勇士たちはブルグントの勇士に負けず劣らず兵揃い。ギーゼルヘルが倒れ、ディートリッヒの剣師範ヒルデブラントも怒れるハーゲンが振るうバルムングの剣で深手を負います。

ブルグント人で生き残ったものはグンターとハーゲンのみ。

グンター、ハーゲン、クリームヒルトの最期

ディートリッヒは武装を整え、ヒルデブラントともに進みました。

和平の話し合いをするためです。

ハーゲンの剣が大きな音を立てながら、ディートリッヒめがけて振り下ろされます。ディートリッヒは巧みに身をかわし、ついにハーゲンに深い傷を負わせることに成功しました。

ディートリッヒは二人を殺すことなく、縛り上げてクリームヒルトのところへ連れていきました。

クリームヒルト

神があなたを祝福されるように。よくぞ私にこの喜びを与えてくださいました

クリームヒルトは兄ブルグント国王グンターの首をはね、バルムングの剣でハーゲンの首をはねました。

ヒルデブラント

私の身がどうなろうと、私自身ハーゲンによってどんなひどい目にあったにせよ、私はこの雄々しい勇士の死の仇を討ちたい

クリームヒルトを斬り殺すヒルデブラント
Alfred Rethel, Public domain, via Wikimedia Commons

エッツェル王とディートリッヒは泣きました。

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