グッテンベルク城は同名の城が十数もあるため、城名の後に地名を付けて区別しています。
グッテンベルク城(ハマースハイム)は、古城街道はネッカー川沿いにある山城です。
シュタウフェン朝時代のベルクフリート、13世紀の盾壁、中世後期の居住館、バロック様式の政庁館など、様々な時代の建築物が保存状態よく残されています。
1449年にハンス・フォン・ゲミンゲン(Hans von Gemingen)が購入して以来、現在もゲミンゲン男爵家がこの城に住んでいます。
今でも代々受け継がれたこの城を大切に管理なされているなんて、なんだかステキなご家族ね。
グッテンベルク城は、ドイツワシタカ観測所(Greifenwarte)の本拠地。
この城のツヴィンガーは鷲鷹園になっており、多くの鷲鷹類が保護され、研究されています。
グッテンベルク城の構成と見どころ
プライベート空間以外は博物館として公開されています。訪れると城の一部に生活臭の漂う場所があるので、少し驚きます。
シュロスなら現在も住んでいるのはよくあるけど、ブルクでは珍しいね。内部は快適に住めるように、今風に改装されているとは思うけどね。
外郭(Vorburg)
外郭に立ち並ぶ建物は、15世紀から17世紀のものです。
堀切から
駐車場から外郭を通り抜けると、そこは堀切(Halsgraben)でした。
堀の中をさらに歩いていくと、正門にたどり着きます。
堀なのか道なのか、どっちなんだよ!な不思議な堀切。
ツヴィンガー壁の向こう側にそびえる高い城壁が、盾壁になります。
砲塔
城を大きく取り囲むようにつくられた外側の外郭には、丸くて大きな砲塔が5つ設けられています。
内側の部分に壁がないオープンな塔になっているのが特徴です。
資材の節約の他に、攻撃を受けたときに中の人が閉じ込められてしまうのを防ぐことができました。
ワシタカ園
内側の古いツヴィンガーがワシタカ園になっており、城内に様々なワシタカ類とフクロウ類が飼われています。
ワシタカ飛行ショー
残念ながら、私が訪れたときはちょうど終わった後でした。かっこいいワシタカの飛翔を見たかったです。
城庭園がショーステージになっています。
内郭(Kernburg)
ベルクフリート
背丸角石で作られた正方形の間取り図をもつことから、13世紀に建てられたことが分かります。
石積み全体は、ワシタカ園側からしか見ることができません。
下にちょこっと、鳥さんが見えますね。
最上階の2つの階は、後期ゴシック様式のコーニスで仕切られており、石の形が5世紀後半に作られたものであることが分かります。
内郭側から見た盾壁
内郭は、3面が建物と環状囲壁が融合した物となっていますが、南西部分だけ建物がなく、盾壁となっています。
グッテンベルク城の歴史年表
シュタウフェン朝時代
1296年、グッテンベルク城の聖ニコラス礼拝堂が言及されています。ヴァインスベルク(Weinsberg)の領主がこの城の所有者であり、封建君主はヴォルムス(Worms)司教でした。司教がヴェインスベルクに封土として与えています。
このことから、この城は帝国ではなくヴォルムス司教がヴァインスベルクに委託して建設したもので、13世紀前半に建設されたと考えられています。
ゲミンゲン家へ
コンラート・フォン・ヴァインスベルク(Conrad von Weinsberg)は、国王に貸した多額の資金が回収不能となったため財政難に陥り、城を売却せざるを得ない状態になりました。
貸してたお金が回収できなくて財政難…。城を売らなければならなくなるほどだなんて…。
- 1452年
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ハンス・フォン・ゲミンゲン(Hans von Gemmingen)がグッテンベルク城を購入。結婚により、大規模な拡張工事を行うだけの資金力も得ました。
娘が結婚するには多額の持参金を伴うんだ。妻となった女性は、裕福な家系出身だったから、その持参金で城を拡張できたんだね。
- 1452年
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封建君主はヴォルムス司教です。ヴォルムス司教により、城の売却が認められました。
宗教改革の時代
1521年、ゲミンゲン家は宗教改革に乗り出しました。ヴォルムス教区は君主としてこれを阻止しようとしましたが、無駄でした。
ルーテル派の初期の頃です。
17世紀
グッテンベルク城は共同相続ブルクで、複数の共同相続人がグッ点ベルクに居住していました。
しかし17世紀後半になると、グッテンベルク城は一族の中の一つの家系だけが継続して所有するようになります。
19世紀
1806年にバーデン大公国に属することになり、ゲミンゲン家は統治権を失います。しかし依然として、城と比較的広い土地の所有者であることに変わりはありませんでした。
ヴィルヘルム・ハウフ(1802-1827年)は、ドイツの歴史小説の創設者とも言われる人物で、ネッカー地方の風景と底に住む人々を皮肉とともに愛情を込めた作品を出しています。
彼はグッテンベルク家の家庭教師をしていたことがあり、小説に登場する城はグッテンベルク城がモデルになったのではないかといわれています。
彼の作品をきっかけに、ドイツでは城郭ロマン主義が始まり、19世紀後半に多くの城が修理・再建される運動へと繋がります。
20世紀
1970年にドイツワシタカ観測所が設立され、グッテンベルク城はその本拠地となります。主に負傷した猛禽類を保護したり、繁殖させて野生に戻す活動を行っています。
南ドイツや中央ドイツの多くの鳥類観測所や、飛行実演(鷹狩ショー)のモデルとなっています。
ワシタカ類は絶滅に瀕している種が多いしね。猛禽類を通して、自然保護活動の啓蒙活動を行っているのね。
グッテンベルク城へのアクセス
無料駐車場からは、徒歩約10分だよ。
古城街道には、他にも魅力的な城がたくさんあるよ