ロマネスク(Romanik)建築とは:暗がりに見出す光

中世ヨーロッパの壮大な歴史と文化が息づくロマネスク建築。

厚い石壁に囲まれた堅牢な構造、精巧な彫刻が施されたアーチや柱頭。ロマネスク建築の重厚さと荘厳さは、訪れる人々を魅了します。

ロマネスク時代は5世紀のローマ帝国没落以来、ヨーロッパ全体で起こった最初の芸術活動の時代で、ゴシック様式の前の時代になります。

ドイツの古城や大聖堂には、この時代の建築様式を色濃く残しているものがあります。

本記事では、ロマネスク建築の定義や歴史的背景を解説し、ロマネスク様式を色濃く残す城郭を紹介いたします。

ロマネスク街道(Straße der Romanik)

ドイツの観光街道の一つとして、ロマネスク街道があります。

ロマンティック街道(Romantische Straße)とは似て非なるものなので、間違えないようにしましょう。

ロマネスク街道はドイツ中部のザクセン・アンハルト州を約1,200キロメートルにわたって巡る観光ルートです。10世紀から13世紀半ばにかけて建てられたロマネスク様式の建造物88カ所を繋ぎ、中世の歴史と文化を体感できるルートです。

ロマネスク建築はキリスト教と強く結びついているので、ドイツにおいてキリスト教がどのように伝播していったのかわかります。

目次

ロマネスク建築の概要

聖ミヒャエル大聖堂
聖ミヒャエル教会(Michaelskirche)ヒルデスハイム(Hildesheim) Fotografie von Hildesia, Public domain, via Wikimedia Commons

ロマネスク建築とは、中世ヨーロッパにおける一大建築様式で、11世紀から12世紀にかけて発展しました。

950/960年頃にフランスから始まったとされ、その後ヨーロッパ各地に見られるようになります。フランスでは1140年頃にはゴシック建築に変わりますが、ドイツでは1230年頃に変わりました。

そのため、13世紀後半の建物の多くは、ロマネスク様式とゴシック様式の両方の要素を併せ持つ建物が多くなっています。

ロマネスク建築の定義

ロマネスクという言葉は、円形アーチ型の様式を表すために19世紀頃から使われ始めた言葉です。ローマ建築との関連性を示す言葉として選ばれました。

古代ローマの建築技術を基にしており、

  • 円形アーチ
  • 分厚い重厚感のある石壁
  • ブロック状の柱頭のある柱
  • 円形アーチの小さな窓

を特徴としています。

ゴシック建築のような高層建築物を立てる技術はなく、ずんぐりした建物の外観になります。

ロマネスク建築の歴史的背景

シュパイヤー大聖堂
シュパイヤー大聖堂(Speyer Dom)Friedrich Haag, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons

ロマネスク以前の建築物は、石壁はできても屋根を作ることができず、屋根だけは木造であることが一般的でした。

しかしロマネスク時代になると、半円筒状または半円筒が交差した形の石造りの屋根を作ることができるようになり、完全なる石造り建築が可能となりました

ロマネスク建築の誕生

ロマネスク建築は、ヨーロッパの混乱期である暗黒時代の終焉とともに誕生します。

この時期、ローマ帝国の遺構を再利用しながら発展した建築技術が、ロマネスク建築です。

ロマネスク建築は修道院建築と深く結びつき、巡礼路に沿って各地に広まっていきました。

クリュニー修道院

クリュニー修道院(Abbaye de Cluny)

クリュニー修道院はベネディクト派の修道院で、修道院改革の中心地となりました。ベネディクト派は労働と祈りを重んじる会派。

Michal Osmenda from Brussels, Belgium, CC BY 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by/2.0, via Wikimedia Commons

カロリング朝やオットー朝の影響を受けつつも、地域ごとに独自の発展を遂げ、地域の信仰および防衛拠点としても機能しました。

キリスト教布教に役立ったロマネスク建築

修道院は、オットー朝の建築と芸術の原動力となりました。

当時のドイツ情勢はというと、北からノルマン人が河川を昇って付近の村々を襲撃、東からはマジャール人の侵入がありました。

このような背景から、当時の人々の心をとらえたのは、終末を説く「ヨハネ黙示録」。

日本の末法思想もそれに近かったのかもしれませんが、ヨーロッパの人々は身近に危険が迫っていたため、それだけ「世も末」だと感じる人が多かったのでしょう。それだけ神に救いを求めていました。

そんな終末思想に、薄暗い空間のロマネスク建築は大いに役立ちました。

重苦しく薄暗い教会の中で、ろうそくを灯して豪華な典礼を行えば、効果満点。

窓が少ない壁面に、絵画や彫刻でキリスト教の教えをわかりやすく描くことができます。

その教えを小さな窓から差し込む光と、ロウソクの灯火で映し出せば、それこそ

暗黒の世界に一条の光明

を見出す世界。

神々しさ満点ね

暗闇の中に見える明るい灯火はキリスト教だと見せつけるのに、ロマネスク様式の薄暗い空間はうってつけでした。

ロマネスク建築の特徴

マリア・ラーハ修道院
マリア・ラーハ修道院 Photo by CEphoto, Uwe Aranas

ロマネスク建築の特徴は以下のようになります。

  • 分厚い石壁
  • 小さい窓
  • ヴォールト
  • 丸柱と柱頭彫刻

特に小さい窓は、光の建築とも呼ばれるゴシック建築とは対象的。

分厚い石壁と小さい窓

石造りの屋根を支えるためには壁を厚くしなければなりません。

窓をつけるとそれだけ重量を支える力も弱くなってしまうため、小さな窓しか設けられませんでした。

ヴォールト

樽型ヴォールト(主にフランス)、交差リブヴォールト(主にドイツ)が重要な要素になります。

ゲルンハウゼン城のヴォールト

ゲルンハウゼン城のヴォールト

交差リブヴォールトはより複雑な構造を可能にします。

ヴォールト技術によって内部空間が広くなり、建物の高さと壮大さを強調できるようになりました。

ヴォールト技術が登場する前は、木製屋根を載せるしかありませんでしたが、ヴォールトの登場により屋根も石造りにできるようになりました。

丸柱と柱頭彫刻

ゲルンハウゼン城の柱頭彫刻

丸柱は建物の重量を支える重要な構成要素。

その上部にある柱頭は植物的あるいは具象的に装飾され、時に宗教的シンボルが装飾されました。

ドイツにおけるロマネスク様式の城郭たち

ニュルンベルクやヴァルトブルクといった重要な城塞は総石造りの城郭として残っていますが、地方のそれほど重要ではない城郭は土塁、柵、木造住居が主流でした。

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