ドイツとオランダとの国境付近にある水城です。オランダまでわずか1キロしかありません。
最寄りのドイツの大都市は,デュイスブルク(Duisburg)になりますでしょうか。
アンホルト城はザルム・ザルム侯爵(Fürsten zu Salm-Salm)の居城で,現在は博物館としてだけではなく,ホテルおよびレストランとしても利用されている水城です。ブルクとありますが,シュロスに近い城になります。
水面に映る水城の姿が美しく,このような美しい古城ホテルで宿泊したりレストランで食事をしたりすることは,とてもロマンチックではないでしょうか。
レストランのテラスは水堀の向こうに美しい庭園と森を眺めることができるように設置されており,ゆったりとした雰囲気の中で食事を楽しめるようになっています。
アンホルト水城の見どころ
豪華絢爛たる城ではありません。閑静な池(水堀)の中に立つ城で,手入れの行き届いた美しい庭園があります。ゴルフ場が併設されており,ゴルフを楽しんだ後に城のレストランで食事をし,城に宿泊するなんていうのが,この城の贅沢な楽しみ方ではないでしょうか。
ブルクと名前がついている通り,ブルクの特徴を多く持っています。
城内へ行くには橋を渡らなければならず,その橋は跳ね橋になっています。今ではもう姿を消してしまった跳ね橋が多い中,アンホルト城には跳ね橋が存在しています。今でも可動します。
城門に直接取り付けられた跳ね橋ではないことも特徴的です。跳ね橋がどのような仕組みで動いているのか,現物を見て理解できるのではないでしょうか。
博物館
主城(Hauptburg)には博物館があります。
ノルトライン・ヴェストファーレン州の中では古くて大きい博物館の部類に入ります。レンブラントの絵画といったものを中心としたコレクションを堪能することができます。
博物館は1時間毎にガイドツアーが行われていますが,そのガイドツアーはドイツ語のみとなっています。ドイツ語が理解できる方はぜひガイドツアーに参加して見てください。
絵画と行った芸術作品は,作品が誕生した背景を知ると,より一層鑑賞の深みが増すものです。
アンホルト水城へのアクセス
アンホルト水城の歴史年表
- 1169年
- ユトレヒト司教区を防衛するために,この地に防衛施設が建てられました。ユトレヒト司教ゴットフリート・・フォン・レーネン(Gottfried von Rhenen)の封建領主としてアンホルトの領主が文献に登場します。地上から7mのところに入口のある直径11mのベルクフリートと,環状城壁を持つ城であったことが,調査から分かっています。
- 13世紀
- ユトレヒト司教との封建関係を解消し,新たに帝国と直接主従関係を結びます。
- 14世紀
- 大規模な拡張工事が行われます。現在の主城はkの頃の主城の大きさとほとんど同じで,わずかに小さいのみです。住居塔が建てられ,幅2mの防御壁が造られました。
- 1380年
- 男系が途絶えます。所有権は娘婿のものとなりますがなかなか認められず,50年後の1431年になってようやく皇帝ジギスムントから所有権を認められました。
- 1500年頃
- ゲルデルンフェーデ(Geldenischer Fehde)が起こります。城は3ヶ月に渡り包囲され,粘りましたが,ペストの流行によりゲルデルン家に開け渡すことになってしまいました。
- 1537年
- 条約によりアンホルト家は城の所有権を取り戻すことができました。取り戻したものは所有権のみであり,実質的にはゲルデルン家が握っていました。名実ともにアンホルト家にものになったのは3年後,皇帝カール五世(Karl V.)によるものです。
- 八十年戦争
- アンホルト城は八十年戦争の惨禍に見舞われます。略奪を行わないことを約束した上で城門を開けたものの,城門を開けた瞬間に約束は反故にされ,街は破壊され,火を放たれました。クレーヴェ公爵の軍隊が来たときのみ,略奪者は街から去りました。
- 三十年戦争
- 八十年戦争と同様に,街は破壊されました。
- 1647年
- アンホルト家の男系が途絶えます。婚姻関係から相続権はザルム(Salm)家に移ります。
- 1700年頃
- カール・テオドール・オットー・ツウ・ザルム侯爵(Fürst Karl Theodor Otto zu Salm)によって,ブルクからバロック様式のシュロスへとに大きく姿を変えます。
- 1810年
- ザルム家の領土はフランス領となります。
- ウィーン議会
- ザルム家の主権が回復することなく,プロイセン領となります。しかし城は侯爵家の居城として認められます。
- 第二次世界大戦
- 第二次世界大戦ではアンホルト城も大きな被害を受けました。主城の約70%が破壊されてしまいました。多くのコレクションは地下室に避難させていたので無事でした。
- 第二次世界大戦後
- 大戦終了後,破壊された城の再建にすぐに取り掛かり始めます。1966年に城の再建が完了し,ザルム・ザルム侯爵一家が再び居住し,同時に一般にも城を公開しました。
アンホルト水城の営業案内
- 博物館の開館時間
- 5月~9月 11:00~17:00(月曜休館) 10月~4月 日曜日のみ 13:00~17:00 1時間毎にガイドツアーがあります
- 庭園の開放時間
- 1年を通して開放されていますが,12:00~13:00にお昼休みがあります。