城(ブルク)はどうやって建設されたのか

城とは何か

初期の頃は木造の城でしたが,火矢の攻撃に脆弱であったために,次第に石造りの城へと変わりました。

城の建設には,付近の農民を駆り出すだけではなく,技術をもった多くの職人たちの手も借りて建設されています。

どのようにブルクが建設されたのか,ざっくりと見ていきます。

流れとしては

  1. 主君から城の建設許可をもらう
  2. バウマイスター(Baumeister:建築家)の雇用

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城の建設許可

城の建設に最適な場所を見つけたとしても,すぐに建設工事に取り掛かることはできませんでした。

建設するためには,まず主君の同意を得る必要がありました。

なぜ建設許可が必要なのか

フン族,サラセン人,ヴァイキングからの攻撃に備えるためにブルクが必要であることは主君も重々承知していました。しかしその一方で,そのような要塞は臣下自身の反逆の拠点となることを,過去の苦い経験から分かっていました。

ゆえに,信頼できる家臣で,かつ,それなりの理由があることを証明できるものにのみ,城の建設許可を出していました。

理由としては,

  • 国境警備
  • 重要な交易ルートの保護
  • 修道院や都市の保護

です。

建設許可が降りると,周囲の農村から使役を義務付ける権利が与えられました。農民たちは城の建設に携わる見返りとして,有事の際に城に避難する権利が与えられました。

当初は建設許可が必要だったブルクですが,中世末期になると,代々一族が領地として受け取った土地を,許可がなくても建設できる自分たちの領地とみなす貴族が増えてきました。

違法に建築するとどうなるのか

主君の許しをえずに城を建設した場合,国王や主君の軍隊によって攻撃されることを覚悟しなければなりませんでした。

めったに無いことですが,一応,主君が事後承諾した例もあるようです。

バウマイスターと職人たちの雇用

建設許可がおりたら,最初に施主が行うことは,工事の計画と監督をするバウマイスターを雇うことでした。

バウマイスター

経験豊富な名工で,石工やレンガ職人として複数の建設現場で長い修行期間を過ごしたあと,教会や城の建設業者から専門的な訓練を受けた者です。

腕の良いバウマイスターは貴族の間で口コミで広まっていき,引っ張りだこでした。

バウマイスターとの協議

施主とバウマイスターは建設費用を協議したあと,どのような城を立てるべきかを話し合いました。

たいていの場合,バウマイスターがこれまで見たことがある城を参考にし,新しく確立された技術革新をバウマイスターが提案し,城の建設に生かされることになります。

  • 部屋をどのように配置し,どの建物で中庭を囲むのか
  • 何の職人が必要で,その職人は何人必要なのか
  • どのような建材が必要なのか

などのことを話し合って決めていきます。

高額な建設費用のために,ときに騎士は財産の一部を売却したり,借金をしなけらばならないようなことが多かったようです。

建設プラン

現在の建築士が描くような立面図や間取り図はありませんでした。

バウマイスターは木や床にスケッチを掘っていたと考えられています。そんなラフスケッチでも,着工前には敷地内に棒や線を張って間取りが描かれていました。

礼拝堂の吹き抜けのような難しい建設段階になると,バウマイスターは詳細な設計図を作成しましたが,それ以外の部分は経験に頼っていました。

建設計画全体を知っていたのはバウマイスターだけでしたので,バウマイスターは建設期間中は解雇される心配はなく,工期中にマイスターが亡くなってしまったら大惨事となりました。

建設に携わる人たち

無給の農民たち

城の建設に駆り出された周辺の農民は,無給で働かなければならなかったので大きな負担となりました。

特別な知識を必要としない仕事は,すべて周辺から駆り出された農民たちに割り振られました。

  • 採石場での岩塊の採掘
  • 樹木の伐採
  • 建設用地の整地
  • 木材や石材,砂や石灰の連牛での運搬

有給の職人たち

  • 石工
  • レンガ職人
  • 大工
  • 屋根職人
  • 鍛冶屋
  • 配管工

これらの職人たちは食事と宿泊所が施主から無償提供され,さらによい給料を貰っていました。

このような職人たちは工事が終わると,次の工事現場へと移動していきました。

城壁や塔の建設

守りの要である城壁と塔がまず建てれます。

地上付近の城壁は厚さ2mになることが多く,住居用の塔は厚さ4mになることもありました。

しかし上の方に行くに従い,破壊槌や他の攻城兵器を恐れる必要がなくなり,壁の厚さは薄くなるのが一般的です。

石積みはまず,見習いがハンマーとノミで荒削りにしたあと,職人やマイスターたちが小屋の中で細かい作業をして整えます。

その中でも彫刻家はとくに尊敬されており,柱や丸いアーチ,ときには小さな彫像も掘っていました。

積み上げた石積みは,どんな猛攻にも耐えられるようにモルタルでくっつけられていきます。

セメント作成

石灰石を砕いて焼いて,セメントを作ります。

石灰石よりも大理石のほうが良いセメントが出来たので,多くの古代の大理石像が犠牲になりました。

どのマウアーマイスター(Mauermeister:壁職人)も自分だけモルタルレシピを持っていて,石炭やワイン,バターミルクといった材料が含まれていることもありました。謎材料ですね。

三層構造の城壁

外側と内側の石壁は丁寧に作られます。丁寧に削られ,丁寧にモルタルで接合されていきます。

外側と内側の間には,砂利や瓦礫を詰め込み,モルタルが流し込まれているだけです。

塔の建設

塔は特に重要な防衛施設です。念入りに要塞化されています。

多くの場合,3階建ての螺旋階段が取り付けられています。

胸壁の建築

城壁や塔が人の高さよりも高くなると,足場を組んでいくことになります。

杭を打ち込み,梁を渡してロープで縛り,足場板を釘打ちしていきます。

足場は少しずつ上に向かうスロープ状になっており,石やモルタルなどの建材を引きずったり,ソリで引っ張ったりして運びました。

足場の梁穴の後は,現在でも多くの城壁に見ることが出来ます。

城壁の上部には高いところと低いところがあります。狭いスリットがあいており,弓兵の防御壁としての役割を持っていました。

弓兵はこの胸壁の上から,攻撃者を狙い撃ちします。

床の施工

床の高さは,バウマイスターが決めていました。

天井の横梁が敷かれる重厚な支持梁は,壁に設けられた穴に押し込まれたり,石の台座の上に敷かれました。

大きな部屋の場合

大きな部屋の場合,横梁だけでは強度が足りないので,下から巨大な木の柱を差し込みました。

柱を差し込むための穴は,予め掘削しておきます。

木材は工事現場近くの工房で予め加工されたものを運び込み,現場で職人が調整します。

屋根の取り付け

初期の頃の屋根は藁葺でした。

しかし後期になると,火に強い瓦屋根を好むようになりました。

余裕があり,支えるだけの強度を持った屋根組があれば,鉛板を採用しました。

配管工は,雨水を貯水槽に貯められるように雨樋を作成しました。

他の建物

木組み建築

城の他の建物は,木組み建築で建てられました。

木組みを作り,その間をヤマヤナギの棒で格子のようなものを作ります。

それに粘土,藁,獣毛,糞などを混ぜ合わせ,壁に塗っていきました。日本の土壁と似ていますね。

乾燥後は白漆喰を塗って仕上げました。

丸天井の作成

丸天井を作るのは難しく,通常は城の礼拝堂にしか採用されていません。

ますレンガを積み上げ,石を支える足場を作りました。

楔石を中央に差し込み,シームレスに収まるように採寸します。位置が定まると丸天井はそれ自体で維持されるので,足場を取り除くことができます。

水の確保

飲水,料理,洗濯,掃除以外にも,厩の掃除やゴミの除去にも水は重要です。

殆どの城には,深い深い井戸が敷設されています。

井戸は城の中にあることもあれば,中庭にもあることがあります。

中庭にある時は,木造の井戸小屋で保護され,ゴミや動物の排泄物で水が飲めなくなってしまうことがないように保護していました。

平時には近くの川に水運び人に運ばせていました。木の棒の両端にバケツをぶら下げて,水を運んでいました。

上述の雨水をためた貯水槽からの水は,贅沢品でした。

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