ドイツの城：城主の邸宅パラス（Palas）はどのような建物なのか

城の基本構造の一つで、パラスは「本館」と訳されているのをよくみかけます。

城主の主な生活場所で、私的空間。いろいろある城の建物の中で、大型窓があることが特徴の一つ。

パラスは城域の中で最も守られた場所に配置されています。そのため、防御面での制約を受けることがなく、城主にとっては自分の富と芸術センスを示す場所となりまりた。騎士道に最もふさわしい建物と言われています。

部屋の構成は時代や背景、城の規模により変わります。

本記事では、城主の生活の場であり、政治空間でもあったパラスについて解説します。

パラスの部屋の構成

下層階は上層階に比べて壁が厚く、また、光を取り入れる窓や扉が小さく少なかったため、下層階は暗いです。

• 衣類の制作
• 書類の管理

といった作業が日々行われ、パラスは生活の場であるだけでなく、行政の場でもありました。

騎士の間・大広間（Rittersaal）

小さな前室を通った先は大広間へと続きます。

「騎士の間」というようになったのは、19世紀のロマン主義の時代から。それ以前はただの「大広間（Saal）」。マールブルク城は、城主の階級を鑑かんがみ、騎士の間ではなく君主の間（Fürstensaal）という名称が使用されています。

初期の頃は君主が食事をし、裁判を行い、会議を開いていました。

騎士の間は、行政と司法の中心であると同時に、客人をもてなす場でもあります。

パーティが行われる時は組み立て式のテーブルが置かれ、夜になると客人のためのベッドが置かれました。

中世最盛期、特に上級貴族の宮廷や城には、より大きなホール空間のある建物があります。建物の大きさや装飾、凝った調度品がありました。

幅広の梁天井は太い木柱で支える必要があり、広くて天井の高い室内は、中世の価値観では「贅沢」なものでした。

騎士の間の広さは、時代と城主の社会的地位により、その役割を変化させています。騎士の間の広さが、城主の社会的地位の高さと結びついていた時代もありました。

ワインセラーとして使用される地下室もあることが多く、1階は複数の部屋に分かれており、上階に大広間があります。

現在、壁に武器が飾られていることの多い騎士の間ですが、中世当時は武器を飾るようなことはしていません。武器庫を用意する余裕のない下級貴族の城の騎士の間には、もしかすると、飾ってあったかもしれません。

居間（Kemenate）や寝室（Schlafzimmer）

城主の家族用の居間と寝室もパラスにありました。

辞書的には婦人の間とも訳される「Kemenate（ケメナーテ）」は、部屋の名前の由来となっている暖炉（Kamin）があり、暖房のある貴重な部屋です。

ケメナーテという言葉は中世時代にはほとんど見られず19世紀の発明で、19世紀の女性蔑視的な視点がやや入っているといわれています。

ケメナーテは、居間や寝室として利用されました。当時の暖炉は最適とは言えないものの、城主の家族がより快適に暮らせるようにするためのものです。

主人と客人が別の部屋で寝ることに意味があります。

城主夫人はここで、娘たちを教育していました。

毛メナー手の使用目的から、日本の城でいうところの「奥」に相当する部屋と考えられます。

ケメナーテにこもっているクリームヒルトに会わせてもらうのに、ジークフリートは1年以上かかっています。

まとめ

• パラスは城主たちの生活と仕事の場
• 騎士の間・大広間は仕事場でもあり、パーティ会場でもある
• 騎士の間の広さは、城主の社会的地位を示す
• 城主とその家族たちが生活する私的空間「ケメナーテ」がある

パラスの他にも、城を構成する要素はいろいろあるよ！