フォークト(Vogt)

フォークトとは,中世,近世ドイツの貴族役人のことです。日本語では代官とも,城代とも訳されることがありますが,日本史の城代とは役割が違います。

領地の管理と司法の任を,領主に代わって執行します。その権限は,日本の中世の守護大名に近いのかもしれません。

不在がちな領主に代わって城に住み,城の管理と周辺の領地の管理をしたフォークトを,特にブルクフォークト(Burgvogt)と呼びます。

フォークトが支配する土地をフォークタイと呼びます。

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フォークトの設立

教会の高僧の代理人または世俗的機関,世俗的法廷の代表としての国の役人でした。

教会は世俗的なビジネスを表向き行うことが出来なかったため,フォークトを任命して彼らに代行させていました。

神聖ローマ帝国

教会フォークト(Kirchenvögte)

教会では,裁判を行うための執行官が必要でした。そして教会を守るために,武装勢力も必要でした。

中世では国家権力は弱く,自分の身は自分で守らなければなりません。しかし教会は宗教的理由から戦争を行うことは出来ませんし,刑を執行することはできません。

そこで登場したのがフォークトです。教会は民間人をフォークトに任命し,領地の管理と保護,裁判などを彼らに任せました。フォークトは聖職者ではありませんので,教会に代わり戦争を行い,罪人を死刑にすることもできます。

最初こそは個人の能力でフォークトを任命していましたが,中世後期になると能力とは関係のない世襲制となり権威となりました。

フォークトの権力が強くなり,もともと仕えていたはずの教会の財産を奪うことさえありました。

帝国フォークト(Landvögte)

13世紀頃,行政組織にフォークトが組み込まれました。

フォークトは領主に代わり,税の徴収や裁判の執行官の仕事をしていました。

皇帝ルドルフ・フォン・ハプスブルク(Rudolf fon Habsburg)が,断絶した旧ホーエンシュタウフェン家の帝国領を管理するためにフォークトを置いたのは始まりです。

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