ジグマリンゲン城(Schloss Sigmaringen)の見どころ紹介!貴族の暮らしが息づく内部ツアー

黒い森(Schwarzwald)の北端近く、ドナウ川(Donau)上流の町ジグマリンゲン(Sigmaringen)にそびえるジグマリンゲン城。

ドナウ川が刻んだ狭い谷に、ジュラ紀に由来する石灰岩の岩山が突き出し、その上に城が張り付くように建つドイツ最大級の都市城(Stadtschloss)のひとつ。

中世には要塞として、その後はホーエンツォレルン=ジグマリンゲン家の居城として栄えた、歴史の厚みのある城です。

城の立地ドナウ川沿い岩山に立つ山城
城の種類シュロス・都市城
城主の階級ヘルフェンシュタイン伯爵→ヴェルデンベルク伯爵→ホーエンツォレルン伯爵=ジグマリンゲン侯爵
最初の城の設立1077年

中世の城砦としての起源を持ち、ホーエンツォレルン=ジグマリンゲン(Hohenzollern-Sigmaringen)家の居城として発展し、第二次世界大戦末期においてはヴィシー政権の一時的な亡命地となっていたこともありました。

ホーエンツォレルンって、あのドイツ皇帝にもなったホーエンツォレルン家となにか関係があるの?

城山塔子

ホーエンツォレルン=ジグマリンゲン家は、ドイツ皇帝になったホーエンツォレルン家の傍系に当たるよ。

現在みられる城の姿は、17~19世紀の大規模な改築・再建によるもの。

しかしジグマリンゲン城の最大の魅力は、なんといっても、

上流貴族の生活感がそのまま残っていること

同じホーエンツォレルン家のホーエンツォレルン城が見せるための城だとしたら、ジグマリンゲン城は実際に暮らしている城。

本記事では、ガイドツアーで巡る城内の見どころを「貴族の暮らしが感じられるポイント」に注目しながら紹介します。

詳しい歴史については、別記事「ジグマリンゲン城の歴史」解説しています。

著:Hild, Nikola, 著:Hild, Katharina, 翻訳:Whitehead, David, 翻訳:Thobois, Michel
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目次

ジグマリンゲン城の見どころの全体像

城山塔子

遠目に見ても巨大な城だと感じていましたが、近くで見ても、どう写真を撮ったらいいか迷ってしまうような城でした。

1893年の大火の後、1900年から1906年にかけて歴史主義様式(折衷主義)で城全体が再設計され、再建されました。

城の縄張りは岩山の形状にかなり依存しているため、いずれの時代の城も、ほぼ同じ間取りを維持していました。

城の主な見どころは、以下の通り。

  • ガイドツアー
    • 武器庫(Waffenhalle):約3000点を所蔵する私設武具コレクションはヨーロッパ最大級
  • 博物館
    • 侯爵博物館(Fürstliches Museum):シュヴァーベン地方の芸術作品を展示。現在は見学不可。
    • 厩舎博物館(Marstallmuseum):18世紀~19世紀の馬車やソリなど、珍しい車両が展示されています
  • ホーエンツォレルン侯爵宮廷図書館:バーデン=ヴュルテンベルク州最大の私立図書館

城の内部はガイドツアーで見学可能です。

ジグマリンゲン城のガイドツアーの流れと内部見学のポイント

ガイドさんから、中庭から各建物の大雑把な歴史の説明を受けます。どの建物がいつごろできたのかという説明です。続いて中を見学するときの注意事項についての説明を受けました。

靴のまま見学できますが、必ず赤絨毯の上を歩いてね

一番最初に通された部屋は両側に装飾用と思しき甲冑が1対。置いてある家具も、素人目に見てもよい品であることは明らかです。

階段の下には大きな陶器があり150cm以上はあるのではないでしょうか。

このプロイセン王国の大きな花瓶は、カール・アントン侯爵の金婚式を記念して皇帝が贈ったものです。

Edelmauswaldgeist, CC0, via Wikimedia Commons

階段の所の窓には金属製の騎士の置物があり、それも何か意味があるようです。

青い書斎(Blaue Schreibzimmer)

ポルトガル王妃になったシュテファニー王女の部屋。王女の暮らしぶりが伝わる部屋です。

シュテファニーと家族の肖像画などが飾られています。

その部屋の鏡台のガラス細工が非常に人目を引きつけるもので、鏡の周りにガラスの花が飾られていました。

その隣のそのお姫様の寝室には、これまた豪華なガラス細工のシャンデリアがありました。近世にいろいろ電化されたらしく、シャンデリアもロウソクではなく電球用のもの。

近代化するための電気工事が原因で、ジグマリンゲン城は1893年に大火災に見舞われています。

天井は、今まで見た城には無かったような細工、銅板レリーフ。他にもいろいろな天井があって豪華。ドアにもそのようなものが付けられていて、豪華でした。

黒の間(Schwarzer Salon)

黒の間(Schwarzen Salon)

黒の間には、ベネチア鏡が設置されています。

暖房システムもセントラルヒーティング(Zentral Heizung)になっており、暖房システムは窓の所を通り、外からは見えないような造りになっているそうです。

暖房設備はかなり近代的ね。

上流貴族のサロンであり、近代的な設備が導入されていたことがわかります。

赤のサロン(Rotersalon)

ホーエンツォレルン=ジグマリンゲン家の初代伯爵と初代侯爵の肖像がが展示されています。

祖先の間(Ahnensaal)

代々の城主でしょうか、壁に全身の肖像画が描かれている部屋に案内されました。

ジグマリンゲン城の歴史に大きく関わっている代表的な人だけ説明を受けます。

どんな人物だったのかよく分からなくても、時代とともに変わる衣装の変遷が、肖像画から垣間見えるのが面白いですね。

一族の物語を語り継ぐ部屋。

ポルトガル・ギャラリー(Portugiesische Galerie)

ポルトガル・ギャラリーは、城の南側に位置する豪華な装飾が施されたギャラリー。

1893年の大火で消失した後、再建および改修工事の一環として、1902年に建設された部分です。

なんでポルトガルなの?

城山塔子

ポルトガル王室と婚姻関係にあるかららしいよ。

  • カール・アントン侯爵の娘シュテファニー王女(Prinzessin Stephanie)がポルトガル国王ドン・ペドロ5世(Don Pedro V.)と結婚
  • カール・アントン侯爵の長男レオポルト(Leopold)がポルトガルの王女ドンナ・アントニア・マリア(Donna Antonia Maria)と結婚
ポルトガル館

奥に見えるのはポセイドンの像です。スキュラの像も1対ありました。

壁にかけられているのは、1520年にピーテル・ファン・アールスト(Pieter van Aelst)が制作した高価なタペストリーです。

狩猟展示室(Hubertushalle)

狩猟の間(Jadgzimmer)
狩猟の間(Jadgzimmer)

こういう城には“動物の頭がびっしり飾られた、いわゆる『虐殺の間』とも言える狩猟の間があります。小さなシカの頭と大きなシカの頭がたくさん飾ってありました。

これら、フリードリヒ侯爵の狩猟戦利品です。

クマ(絶滅危惧種)が1頭寝ており、クマをしとめたときの写真(死んだ熊の上に腰掛けてるお決まりのポーズ)と猟銃がガラスケースに展示されていました。

アカキツネ(現在保護対象)にクロライチョウ、ヨーロッパオオライチョウまで。上では鷲(オジロワシ?)の剥製が回っています。アオサギ他いろいろな動物がありました。

城山塔子

狩猟はヨーロッパ貴族の趣味。狩猟用の森として保護されていたお陰で、絶滅を免れた動物がいることも事実。

一族の“自分たちの物語”を飾る部屋ですね。

武器庫

フーベルトゥスハレを降りると、そこは武器庫

城の南側にあったヴォールトの部屋(Gewölberaumes)を改修して作られた部屋です。

豊かさと多様性において、ジグマリンゲン城はヨーロッパ最大級の個人所有の武器コレクションを所蔵しています。

武器庫の前には甲冑が十数体飾られていた。その前には鍵?と思しきものがいくつかガラスケースに入れられて展示されていました。よく出来ているけど、どういう鍵の仕組みになっているのか、いまいち良く分かりません。

ガイドさんの説明によると、武器庫には約3000点の武器が納められているそうです。

カール・アントン・フォン・ホーエンツォレルン

ホーエンツォレルン=シグマリンゲン侯爵カール・アントン(Fürst Karl Anton von Hohenzollern-Sigmaringen、在位 1848年-1885年)

カール・アントン候の個人的な武器収集の情熱によって集められたものです。

14世紀から20世紀にかけての武器、15~17世紀の騎士の鎧などが展示されています。

ウォー・ピック(war pick)、ブラワ(bulawa)、メイス(mace)、サーベル(sabre)、ツヴァイハンダー(Zweihander)、ハルバード(Hallebarde)、グレイヴ(glave)、他にもいろいろな武器。

城山塔子

ドラゴンクエストやファイナルファンタジーといったゲームで出てくる武器がたくさん。もちろん、実物を見るのははじめて♪

武器は金網のフェンスで守られ、金網のすぐ向こうにそんなのが所狭しと両側に並んでいます。

打撃武器と刺突武器

14世紀から20世紀にかけての刀剣類。

  • メイス
  • ツヴァイハンダー
  • レイピア
  • サーベル
  • ハルバード
  • グレイブなど

フランベルジュは実用的な刃もあれば、どう見ても装飾用の刃もあります。

刃が波打っているスピアもあります。

レイピアのように見えるけど、その刃がねじれて螺旋を描いてるもの。ドリルレイピア?ともいえるような、あまり実用的でもなさそうな、装飾用と思えるような刀剣類もありました。

城山塔子

東南アジアの武器もあったよ。

火器
  • クロスボウ
  • 火縄銃
  • フリントロック式銃
  • 第二次世界大戦のライフル
甲冑類

15世紀から17世紀の騎士の甲冑やプレートアーマーや兜類。

城山塔子

日本の甲冑も展示されていました。コレクションの幅が広いですね。

オルガン銃(Orgelgeschütz

151世紀のドイツ製オルガン銃は、非常に珍しい一品。現代の速射砲の先駆けとなる銃で、1本の木の幹から制作され、5本の小口径の鋳鉄製銃身が挿入されています。

その武器庫を出て外に繋がる階段の両側には、これまたスピアがずらりと並んでいた。

武器庫を最後にして、城内ツアーは終了となります。

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ジグマリンゲン城の公式サイト

ジグマリンゲン城の見どころまとめ

ジグマリンゲン城の内部は、単に豪華な部屋やコレクションを見せるためだけの「博物館」ではありません。

  • 電球用に作り替えられたシャンデリア
  • 窓辺に隠れるように通されたセントラルヒーティングシステム
  • 狩猟の戦利品がぎっしり並ぶ部屋
  • 武器マニアの侯爵が集め尽くした武具の数々

どの部屋にも、「ここで上流貴族が暮らし、趣味に没頭し、政治や外交を動かしていた」痕跡が、濃厚に残っています。

もしジグマリンゲン城を訪れるのなら、単に「ゴージャス」「すごい」だけで終わらせず、

この部屋で、誰がどんな想いでこの景色をみていたのだろう?

と想像しながら歩いてみてください。

今につながるホーエンツォレルン=ジグマリンゲン家の暮らしが、少しだけ身近に感じられるかもしれません。

ジグマリンゲン城へのアクセス

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