騎士となるべく教育を受け、刀礼を受けて晴れて正式に騎士の仲間入りをした若き騎士たち。
若き騎士たちのすべてが城持ちの騎士というわけではありません。
- 資産なし
- 有力な親族や友人なし
という金無し・コネなしの若き騎士にとって、騎士になった後どうやって生活していくのか重大問題でした。
長い修行期間を経て騎士になっても、騎士になると途端に生活に困ってしまうなんて、途方に暮れちゃうじゃないの!
若き騎士たちは生きていくため、自分の勇気、強さ、美徳を世に知らしめて評価や報酬を得るために、旅に出たよ
多くの若い騎士たちが自分の持てるものをすべてかき集め、「遍歴騎士(Fahrender Rittter)」となりました。
本記事では、遍歴騎士の人生について解説します。
遍歴騎士たちの最終目標
彼らを旅へと駆り立てたのは、英雄物語や騎士物語です。
物語の中には、理想の騎士像があります。
騎士物語の世界に憧れたのは、女性たちだけでななかったのね。
遍歴騎士たちの目的は、以下の3つ。
- トーナメントに参加し、報酬を得る
- 高貴な君主の側近になる
- 裕福な未亡人と結婚する
トーナメントに参加し、報酬を得る
トーナメントでは、賞金や戦利品で手持ち資金を増やすだけでなく、負かした相手から身代金を手にすることができたので、一攫千金のチャンスでもありました。
何をするにもまず資金がなければ始まらないので、資金を増やすためにトーナメントに参加していたよ。
そして有力な王侯貴族が開催するトーナメントは、それだけ周りの注目を集めます。
トーナメントで活躍できれば、勇敢さと強さを証明できれば上級貴族の目に止まり、次のステップへと進むきっかけにもなります。
高貴な君主の側近になる
王侯貴族が開催するトーナメントで活躍を示すだけでなく、その時の騎士的な立ち振舞が評価されれば、彼らの側近に取り立てられるチャンスがありました。
側近に取り立てられ、そこで能力を示すことができれば生活は安泰です。
裕福な未亡人と結婚する
騎士としての大胆な行動、そして優雅な立ち振舞を示せれば、時として裕福な未亡人の気を引くことができます。君主の気を引いて、その娘と結婚できることもあります。
それはそのまま資産家となり、名誉と名声を手に入れることになります。
一見レアケースのように見えるかもしれないけれど、意外と多いケースだよ。
ホーエンツォレルン家が躍進するきっかけとなったニュルンベルク城伯への就任は結婚であり、ホーエンツォレルン家以前のジグマリンゲン城の城主ヴェルデンベルク(Werdenberg)も結婚により成り上がりました。
夢敗れる騎士
もちろん、遍歴騎士となった若き騎士たち全員がトーナメントで活躍できるわけではなく、目標を到達できずに苦しい生活を余儀なくされ続けた若き騎士たちも当然多くいます。
どんなに汚れても、常に自由で寛大な騎士のプライドを保たなければなりませんでした。
「武士は食わねど高楊枝」に近いのかもね
借金と債権を背負っての見せかけの輝かしい存在に過ぎず、世界のどこかの戦場の泥沼の中で、無残に終わることもよくありました。