カール大帝の愛娘の恋物語(インゲルハイム宮殿に残る伝説)

お城にまつわる伝説

 マインツ近郊、赤ワインの町インゲルハイム(Ingelheim)には、カール大帝の宮殿跡があります。カール大帝の息子、ルイ敬虔王(ドイツ語ではルードヴィッヒ:Ludwig der Fromme)はこの地を何度も訪れ、ここで814年に亡くなっています。

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王女の純愛物語

カール大帝は、ワインの産地が近く、景観も美しいこの地を気に入り、ここで数ヶ月をすごしました(ただし滞在経験は一度だけ)。

大帝とローマ人女性との間に、エマと言う名の娘が生まれ、インゲルハイムで育ちました。エマには教師を多くつけましたが、その中に機密書記官のアインハルトがいました。

アインハルトは若い男性で、カール大帝のような堂々とした風格をしていました。アインハルトはある事件が起こる前までは、無条件に信頼されていました。その事件はアインハルトにとって代償が大きいものでした。

エマは母親からしてみればまだまだ子供でしたが、その心は火がつきやすく、その炎は藁の火ではなく、燃え上がる炎となっていました。アインハルトは自分の仕える主君の娘であることもあり、すべてにおいて控えめな態度をとっていました。

しかし娘が魅力的な女性へと成長するにつれ、アインハルトは自分の気持ちを抑えることができなくなり、日に日に彼女の教師でいることが難しくなってしまいました。公の場でアインハルトはエマに対してどう振舞っていいのか分からなくなり、エマもまた分からなくなってしまいました。

そしてこのことは当然秘密にしておかなければならないことでした。

ある冬の雪の日の早朝、アインハルトが宮殿の女性の部屋から立ち去ろうとするときに、雪に足跡が残ってしまいます。エマは策をめぐらせ、足跡が残らないように彼を背負って中庭へと運ぶことにしました。だがこのことは愛し合う二人にとって命取りとなってしまいました。

明るい満月の夜、王はある囁きを聞きました。王は囁きのするほうへと進み、窓のところへ来ました。そこで王は愛娘が男を背負って歩いているところを見てしまいました。

王は怪訝に思いました。その怒りはアインハルトに向かいました。しかし父親として愛娘を不幸にすることはできず、躊躇し、一晩中悩みました。翌朝王は側近に、


「他人の男と一晩過ごした娘は王家にふさわしいか?」


と聞いてみました。アインハルトはこの言葉にギクッとし、主人に自分のことをすべて告白しました。王は何も聞こうとはしませんでした。


「陛下、お嬢様はやさしいお方です。」


しかし、カール王は聞こえない振りをしているようでした。


「その男は夜、女性たちの部屋に忍び込んだのですか?何をしたのですか?」


アインハルトは叫んだが、王の唯一つの、有罪を宣告する言葉を知っていまいました。


「死刑にせよ!」


アインハルトはすべてを失い、断頭台へと送られることになりました。

王は玉座を立ち、アインハルトは付き従いました。前室のドアが開き、そこにはエマが立っていました。エマは怒りに燃える父の顔を見、何が起こったのかすべてを悟りました。エマひざまづき、


「お父様、どうかお許しを!彼は私のすべてよ!かけがえのない人よ!」

アインハルトもまた、深くひざまづき、王でありかつ主君であるエマの父に許しを願いました。

王は目を閉じて考えに考えました。


「恋人たちを誰も離しはしないさ。近いうちに指輪を交換するといい。お祝いしよう。そしてどこか遠くへ出て行け!」

そう言って王はドアから出て行き、残った二人は抱合って泣きました。次の日二人は早速インゲルハイムの宮殿を旅立ちました。カール王もまたインゲルハイムに戻ることはありませんでした。

カール王はザクセンの反乱を沈め、アーヘンで病気療養し、ローマに赴いて載冠し、ローマ皇帝となりました。

ある時カール大帝は狩猟の旅に出かけました。河に弱った鹿がいましたが追いかけることはできませんでした。もう日は暮れて薄暗くなっていたからです。そこは野生の動物が多く、ここで夜を明かすべきかどうか迷いました。

空に一番星が輝くころ、遠くにかすかな光を見つけました。注意深く光の先に馬を進め、そして小屋を見つけたまし。そこには人が住んでおり、金色の髭を蓄えた大柄な男性がいました。狩りで道に迷い、一晩泊めてもらえないかと頼みました。

男性はカール大帝を中に入れました。部屋には小さな男の子を膝に抱えた若い女性がいました。大帝は男性と女性をじっと見ていました。大帝は何も食べようとはしませんでした。あまりにも疲れすぎていたからです。

そして,忘れ去った古い時を思い起こしていました。子供を抱いた女性のことを考えていたのです。

「なんという名だったか?エマだったか?どのくらいここにいるんだ?あの頃はまだ小さな女の子だった。5歳だったな」


悲しげに愛娘の小さな頃のことを考えていた。年老いた男はつぶやいた。

「きみはなんていうんだ、私の子なのか?」


「お父さん,私はエマよ!」

皇帝の目に涙が流れた。


これは夢なのか?私のの下からいなくなってしまった娘、そして義理の息子、エマとアインハルトにまた会えるなんて!


泣いて抱合って、再会を喜び合った。

カール大帝は、一度は勘当した娘たちを連れ、一緒に宮殿へと帰った。

エマとアインハルトが暮らしていた小屋は発見され、そこに教会が建てられた。そしてエマとアインハルトは,現在そこに眠っている。

インゲルハイム宮殿の案内

公式サイト
http://www.kaiserpfalz-ingelheim.de/
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