ライン川下りをすると,世界三大がっかり観光地とも称されるローレライに出会えます。ライン川に突出したただの岩場です。
ここがローレライであることは,ちゃんと示されています。
この何の変哲もない岩場こそが,多くの詩人たちを魅了し,謳われてきた場所です。
ハインリッヒ・ハイネの詩は有名ですが,ここは古代より数多くの歌に謳われています。
ケルンやマインツの教会には遥か昔の有名な詩人たちが,ローレライの歌や楽器と共に眠っているそうです。
ライン川下りをする方法について,こちらで案内しています。ぜひローレライに会いに行ってください。
ローレライの場所
今でこそ,川底を掘ったり幅を広げたりして航行が楽になっていますが,かつては川幅も狭く,流れも急だったのだろうなと想像します。
岩がせり出してライン川が大きく蛇行する見通しの悪い場所であることがわかります。
ローレライと修道士ゴアーの伝承
ローレライは水の妖精。
魅力的な黒い目,肩にかかるたっぷりとした巻き毛の美しい金髪の女性が,その美しい髪を櫛で梳きながら,いつも同じ岩の上で美しい歌を歌っていました。
若い船乗りは彼女を見れたことを幸運に思いますが,そこは岩礁や渦のあるライン川の難所。
彼女の美しい姿と歌声に見とれたり聞き惚れたりしてしまうと,船は不幸なことに岩礁に乗り上げて沈んでしまいます。
見通しの悪い夕暮れ時や夜,あるいは霧の日にこの危険な場所を通る時は,特に注意が必要です。
ある日,この地に修道士ゴアー(Goar)がどこからともなく布教をしに来て,ここに住み着きました。
彼は毎日ライン川の魚を捕って食べて暮らしていました。ワイン農家の娘,洗濯上手なリウティルディス(Liuthildis)が彼の身の回りの世話をしていました。
修道士ゴアールはリウティルディスに経験な聖人伝を話し,彼女はお返しにローレライについて話をしました。
リウティルディスは彼にとって最初のキリスト教改宗者となりました。
彼の家はライン川の左岸にありましたが,右岸のローレライ岩のそぐ傍に,水のきれいな流れの穏やかな洗濯をするにはもってこいの場所があり,彼はリウティルディスのために洗濯小屋を建てました。
洗濯を通して,近隣の女性たちにキリストの教えを広めるためでもあります。
初めて洗濯をする時,リウティルディスのお手伝いの中に長い金髪の若い娘がいました。
その娘は新しい洗濯場を試すために浅瀬に入ってみると,つま先まで裸になっていました。
ローレライです。ローレライは近所の娘と装って,リウティルディスのお手伝いの中に紛れ込んでいました。
その時,修道士ゴアーは毎夕岩の上流で魚を捕っていました。
彼は裸の女性がいることに気づき,どっか行けと手を振って合図しました。
一方,彼女の方は自分のところに来てと合図を送り,合図の送り合いは夜が明けるまで続きました。
彼は危険なニンフについて注意を受けていました。
彼は魚を釣ることをやめ,リウティルディスや洗濯婦のいるところには戻りませんでした。
彼はローレライに罵詈雑言を浴びせ続け,ついに岩場から追放することに成功しました。ようやく恥じることなく再び釣り糸を垂れることができるようになりました。
異教徒の裸の助成による誘惑に打ち勝った彼は更にこの地で布教を活動を続け,後に列聖されました。
ザンクト・ゴアー(St.Goar)
言うまでもないことですが,修道士ゴアーが居を構えて布教活動していた場所が,ザンクト・ゴアーという街で,ローレライ岩の対岸にあります。
現代のローレライの歌い手たち
ジンギス・カーン(Dschinghis Khan)
アラフィフ以上の世代にはご存じの方も多いのではないでしょうか,ドイツのグループ,ジンギス・カーンが歌うローレライです。
このグループが歌うモスカウ(Moskau)が一時期ネット上で話題になり,ビックリしました。
L’Arc~en~Ciel
歌詞がいまいちローレライのイメージと結びつかないのですが,ラルクもローレライを歌っていたんですね…,知らなかった……。(ファンの方ごめんなさい)