落とし格子(Fallgitter)

ドイツの城の構造

中世ヨーロッパのブルクや城塞都市の城門に見られた防衛施設の一つです。

落とし格子の大部分は木製で,一部を金属を用いて補強していました。

格子の下端は尖った杭状であり,格子の杭の部分が落ちる場所には穴が開けられており,穴には衝撃を和らげるために柔らかい土が詰められています。

格子は側面に設けられた溝に沿って垂直に可動するようになっており,鎖やロープで持ち上げられています。カウンターウェイトやウインチを用いて動きを制御しており,有事の際には迅速に格子を落とせるようになっていました。

格子は門の内側と外側の2枚が1対となっています。

敵が門に侵入してきた時,まずは内側の格子を落として敵が城内に入り込まないようにします。そして,敵がひるんで後退りしたときに,外側の格子を落として敵を城門内に閉じ込めます。

城門の天井には殺人孔が開いており,城門で防御している兵士たちがその穴から矢を放ったり,熱湯や熱いタール,糞尿を敵に浴びせました。

糞尿は臭いだけで一見,害がないように見えます。しかし戦いやチェーンメールで傷ついた僅かな傷口から雑菌が入り込み,医療や衛生概念の乏しかった中世では致命傷となることも多かったようです。

ドイツ語で「とんだ災難」のことを「ペッヒ(Pech:タールの意)」といいますが,城門に閉じ込めた兵士たちに浴びせた熱いタールが由来となっています。